中国ECサイトで模倣品を発見したら?証拠保全から削除申請準備までの初動対応ガイド

【この記事の結論:一番にお伝えしたいこと】

中国ECサイトで自社商品の模倣品を発見した際、最初にすべきことは「削除申請」ではなく「証拠保全」です。あわてて出品者に連絡したり、削除申請を急いだりすると、証拠が消される、出品者が別アカウントで再出品するなど、かえって対応が難しくなるケースがあります。まずは冷静にスクリーンショットや出品者情報を記録し、必要に応じて購入証拠を残したうえで、削除申請や専門家への相談といった次のステップに進むことが、被害拡大を防ぎ、後の権利行使を有利に進めるための最も重要なポイントです。

中国ECサイトで模倣品を発見したら、まず何をすべきか

自社商品の模倣品が中国のECサイトで販売されているのを発見すると、多くの担当者はすぐに「削除させたい」という気持ちから、出品ページの通報や出品者への直接連絡を急いでしまいがちです。しかし、証拠を残す前に行動を起こすと、出品ページが削除・非公開になってしまい、後で権利侵害の事実を証明できなくなる恐れがあります。まずは落ち着いて状況を記録し、社内で情報を共有したうえで、次のステップに進むことが重要です。

特に、模倣品の販売数量が多い場合や、同一の出品者が複数のアカウントを運用している可能性がある場合は、初動の対応次第でその後の削除申請や法的対応の成否が大きく左右されます。発見してから数時間、数日のうちに出品ページが削除されたり、内容が書き換えられたりすることも珍しくないため、「まず記録、その後で行動」という順番を徹底することが、後々の対応をスムーズに進めるための土台になります。

また、模倣品を発見するのは現場の営業担当者や、海外の取引先からの連絡がきっかけであることも多く、発見者と社内の知財担当・法務担当との情報共有が遅れてしまうケースも見受けられます。発見した時点で、誰がいつ、どのような経緯で発見したのかも合わせて記録しておくと、後の社内報告や専門家への相談時に状況を正確に伝えられます。社内での報告フローがあらかじめ決まっていない場合は、この機会に「模倣品を発見したら誰に、どのように報告するか」という簡単なルールを整備しておくと、次に同様のケースが発生した際の初動をさらに早めることができます。以下では、発見直後に取るべき具体的な証拠保全の手順を解説します。

証拠保全のための具体的な手順

証拠保全は、削除申請や将来的な権利行使の根拠となる、最も重要な初動対応です。ここでは、出品ページのスクリーンショット、出品者情報の記録、購入証拠の残し方という3つの観点から、実務的な手順を紹介します。いずれも今すぐ、特別な費用をかけずに始められる対応です。

証拠保全を怠ると、後になって「いつ、どのようなページで、どれだけの数量が販売されていたか」を客観的に示せなくなり、プラットフォームへの削除申請や、行政・司法への対応の場面で不利になることがあります。逆に言えば、この段階で丁寧に記録を残しておくほど、後の選択肢が広がると考えてください。

スクリーンショットの正しい撮り方

出品ページは、通報を受けたり売り切れになったりすると、事前の予告なく削除・非表示になることがあります。発見した時点で、商品ページ全体(商品画像・商品名・価格・出品者名・販売数・レビュー欄を含む)をスクリーンショットで保存してください。1枚の画像に収まらない場合は、ページ全体をスクロールしながら複数枚に分けて撮影し、抜け漏れがないようにします。

あわせて、スクリーンショットを撮影した日時が分かるよう、パソコンやスマートフォンの時計表示が写り込む形で撮影する、あるいは撮影後すぐにファイル名に日付を入れて保存することをおすすめします。可能であれば、ページを保存できるツールやブラウザの「印刷してPDF保存」機能を使い、画像だけでなくページ構造ごと保存しておくと、後の証拠としての信頼性が高まります。

保存したデータは、社内の担当者だけがアクセスできるフォルダにまとめて保管し、誤って削除・上書きされないようバックアップも取っておくと安心です。特に、複数の担当者が関わる案件では、証拠データの保管場所と命名ルールを事前に統一しておくことで、後の整理や専門家への共有がスムーズになります。

出品ページURL・出品者情報の記録方法

スクリーンショットとあわせて、出品ページのURL、出品者ID、店舗名、所在地情報(表示されている場合)を必ずテキストで記録してください。URLはリンク切れに備えて、短縮せずそのままの形式でメモに残します。また、同一出品者が他にも模倣品を出品していないか、店舗ページ全体を確認し、関連する出品も同様に記録しておくと、後の対応範囲を判断する材料になります。

複数の模倣品出品を発見した場合は、発見日・URL・出品者名・価格・数量などを一覧表にまとめておくと、後で削除申請や専門家への相談を行う際に、状況を正確かつスピーディーに伝えられます。特に被害が広範囲に及んでいる可能性がある場合は、一覧表の形で情報を整理しておくことで、どの出品者から優先的に対応すべきかを判断する材料にもなります。

なお、出品者情報の中には、実際の製造元・所在地とは異なる情報が表示されているケースも少なくありません。表示情報をそのまま鵜呑みにせず、「あくまで現時点で確認できた情報」として記録し、必要に応じて後の調査で裏付けを取る、という姿勢で臨むことが大切です。

購入証拠を残す(サンプル購入の考え方)

模倣品であることを客観的に証明するために、実際に商品を購入して現物を確認する「サンプル購入」も有効な手段のひとつです。購入時の決済画面、注文確認メール、配送伝票、実際に届いた商品と正規品との比較写真は、いずれも権利侵害を裏付ける証拠として扱われることがあります。

ただし、サンプル購入には費用や手間がかかるうえ、購入方法や保管方法を誤ると証拠としての価値が下がってしまうこともあります。特に、複数の模倣品を体系的に収集し、まとめて対応(大量案件としての訴訟や摘発)を検討する場合は、収集すべき証拠の種類や粒度が変わってくるため、専門的な知見に基づいて進めることが望ましい領域です。

大量の模倣品案件における証拠収集の考え方について詳しく知りたい方はこちら:
「大量案件における模倣品の証拠収集ガイド」

発見直後にやってはいけないNG対応

模倣品を発見すると、感情的に「すぐにやめさせたい」という気持ちが先立ちがちですが、初動での対応を誤ると、証拠が失われたり、出品者の警戒心を強めてしまったりする可能性があります。ここでは、発見直後に避けるべき代表的な2つの行動について解説します。

出品者へ直接連絡を取る

出品者に直接メッセージを送り、模倣品であることを指摘したり、販売中止を求めたりすることは避けてください。出品者に通報の動きを察知されると、出品ページを削除したうえで別アカウントを使って再出品したり、証拠を隠したりする可能性が高まります。結果として、その後の削除申請や法的対応がかえって難しくなるケースが少なくありません。

特に、同一の製造元が複数の出品者名義でアカウントを運用しているケースでは、1つのアカウントに接触したことで他のアカウントも一斉に警戒を強め、証拠の削除や出品内容の変更が連鎖的に起こることがあります。被害範囲を正確に把握する前に接触してしまうと、全体像を掴む機会そのものを失いかねない点にも注意が必要です。

SNS等で公開告発をする

模倣品を発見した怒りから、SNS上で出品者名やECサイト名を挙げて公に告発したくなる気持ちも理解できますが、これも慎重に判断すべき行動です。事実関係が確定する前の公開告発は、意図せず自社にとって不利な情報発信となってしまうリスクや、出品者側の対応を硬化させてしまうリスクがあります。まずは非公開の場で証拠を積み上げ、削除申請や専門家への相談といった正規のルートで対応を進めることが、結果的に早期解決につながります。

また、公開の場での告発は、自社のブランドイメージにも影響を及ぼす可能性があります。「模倣品被害に遭っている企業」という情報だけが独り歩きしてしまうと、意図せず商品の信頼性への懸念を招くこともあるため、対外的な情報発信は、社内の広報・法務部門とも連携しながら慎重に判断することをおすすめします。

証拠保全後に検討すべき次のステップ

証拠保全が完了したら、次はその証拠をもとに、実際の削除申請や、必要に応じた専門家への相談へと進みます。このセクションでは、削除申請に向けた準備事項、専門家・代行サービスへの相談タイミングの見極め方、そして対応全体にかかる時間軸の目安について解説します。

削除申請に向けた準備事項

削除申請を行う際は、対象のECプラットフォームごとに求められる証拠の形式や、権利者登録の要件が異なります。多くのプラットフォームでは、中国国内で有効な商標権など、権利の裏付けとなる登録情報の提出が求められます。まずはどのプラットフォームで、どの権利を根拠に申請するのかを整理したうえで、必要書類を準備することが重要です。

具体的には、権利者としてのプラットフォームへの登録手続き、商標登録証や権利証明書類の準備、対象となる出品ページのURLと証拠画像の紐付け、といった作業が必要になります。プラットフォームによっては専用の権利者ポータルへの登録が求められ、登録完了までに一定の日数がかかることもあるため、証拠保全と並行して早めに着手しておくと、実際の申請段階でのタイムロスを減らせます。

また、近年ではECモール型サイトだけでなく、ライブコマースやショート動画プラットフォーム上での模倣品販売も増えており、プラットフォームごとに申請フローや必要書類が異なる点にも注意が必要です。1つのプラットフォームでの対応方法をそのまま別のプラットフォームに当てはめられるとは限らないため、被害が複数のプラットフォームにまたがっている場合は、それぞれの特性を踏まえた個別の準備が求められます。

EC以外のプラットフォームでの模倣品対応について詳しく知りたい方はこちら:
「Douyin・RED(小紅書)における模倣品削除申請ガイド」

専門家・代行サービスに相談すべきタイミング

模倣品の出品数が少なく、権利関係も明確な場合は、自社で削除申請まで対応できることもあります。一方で、同一の出品者・製造元が繰り返し模倣品を出品している、複数のプラットフォームにまたがって被害が広がっている、あるいは削除申請だけでは根本的な解決に至らないと感じる場合は、専門家や代行サービスへの相談を検討するタイミングといえます。

特に、行政摘発や民事訴訟といった、削除申請よりも踏み込んだ対応を検討する場合は、費用対効果(ROI)や社内での意思決定プロセスも含めて、早い段階から専門家に相談しておくことで、対応の選択肢を広く持つことができます。中国国内での証拠収集や権利行使には、現地の法制度や商習慣に関する知見が必要になる場面も多く、社内の担当者だけで全てを抱え込もうとすると、初動が遅れて被害が拡大してしまうリスクもあります。

また、担当者個人の判断だけで進めるのではなく、社内での稟議や予算確保のプロセスも早めに動かしておくことが望ましいでしょう。証拠が十分に揃っていない段階でも、「今後どのような対応が想定され、それぞれにどの程度の費用・期間がかかるのか」を専門家に事前に確認しておくことで、社内説明や意思決定をスムーズに進めやすくなります。

削除申請以降の対応方針の検討にあたってはこちらも参考になります:
「中国における訴訟と行政摘発の比較」
「模倣品対応における社内稟議とROIの考え方」

模倣品対応にかかる時間軸の目安

模倣品対応は、証拠保全から解決まで一直線に進むとは限らず、対応方法によって必要な期間が大きく異なります。おおよその目安を把握しておくことで、社内での説明や今後のスケジュール調整がしやすくなります。特に、経営層への報告や予算確保が必要な場合は、「いつ頃、どの段階まで進んでいるか」を事前に見通しておくことが、社内の理解を得るうえでも役立ちます。

対応内容 おおよその期間の目安 備考
証拠保全(スクリーンショット・記録) 即日〜数日 発見後すぐに着手できる
プラットフォームへの削除申請 数日〜数週間 権利登録の有無により変動
製造元・販売元の特定調査 数週間〜数か月 案件の規模・複雑さにより変動
行政摘発・民事訴訟等の法的対応 数か月〜1年以上 事案ごとに大きく異なる

このように、削除申請だけであれば比較的短期間で結果が出ることもありますが、根本的な解決を目指す場合は中長期的な視点での対応が必要になります。まずは証拠保全という「今すぐできること」から着実に始めることが、その後の選択肢を広げることにつながります。焦って一足飛びに法的対応まで検討する必要はなく、段階を踏みながら、状況に応じて対応の強度を上げていくという考え方で臨むことをおすすめします。

中長期的な対応方針の立て方については、こちらの記事もあわせてご覧ください:
「中国模倣品への大量訴訟戦略とROIの考え方」

中国ECサイトの模倣品対応に関するよくある質問(Q&A)

Q. 模倣品を見つけたら、すぐに削除申請をした方がいいですか?

A. いいえ、削除申請の前にまず証拠保全を行うことをおすすめします。削除申請が受理されると出品ページが非公開になり、後から証拠を確認できなくなるため、スクリーンショットや出品者情報の記録を先に済ませてから申請に進むことが重要です。

Q. 中国の商標を登録していなくても対応はできますか?

A. 商標登録がない場合、プラットフォームによっては削除申請の受理が難しいことがありますが、著作権など別の権利を根拠にできるケースもあります。まずは証拠を保全したうえで、どの権利で対応可能かを確認することが現実的な進め方です。

Q. 出品者に直接連絡して販売をやめるよう伝えても良いですか?

A. 直接連絡は避けることをおすすめします。出品者が事前に対応の動きを察知すると、証拠を隠したり別アカウントで再出品したりする可能性があるため、証拠保全を済ませたうえで、削除申請や専門家への相談といった正規のルートで進める方が安全です。

中国ECサイトの模倣品対応なら、私たちにお任せください

模倣品を発見したものの、証拠の残し方や削除申請の進め方に不安がある、あるいは複数のプラットフォームにまたがる被害で対応しきれないという場合は、ぜひ一度ご相談ください。証拠保全のアドバイスから削除申請の代行、製造元・販売元の調査まで、状況に応じた対応方法をご提案いたします。まずは現在の状況をお聞かせください。

模造品の問題、ひとりで
悩まずご相談ください。

経験豊富な弁護士チームが、最適な対策をわかりやすくご提案します。
「相談だけ」「現状把握だけ」でも歓迎です、お気軽にご連絡ください。